昔、田舎にはよくあった囲炉裏のある家。虫がつきにくく、耐久性に優れていると言われてきました。また、保存食としていぶした燻製など、煙のもつ効用は古くから利用されてきました。このような「煙」という、不思議な自然の力を科学して現代の木材に活かしたものが燻煙処理木材です。
[未来工房]で使用する燻煙木材は、銘木の産地で有名な熊本県球磨地方の、球磨桧・杉を使用し、燻煙処理も一括して行っています。樹齢50~60年以上のものだけを限定して切出し、石油燃料を使わず木の皮や枝を燃やしてできる煙で、じっくり燻すことで、曲がりや反りなどの木のクセを緩和し、調湿効果や防虫効果など、木の持つ特性をより引出す事ができます。
近年、「自然素材」に増して「燻煙木材」もすこしずつ認知されています。良いことだと思います。
願わくば、エコビジネスだけの視点ではなく、家づくりを行うならば、何を生産しているのかを自覚し、木、それをとりまく森林環境を意識して、暮らしにも、社会にも還元したいものです。

木は、必ずしも真っ直ぐに育つ木ばかりではなく、おかれた環境に適応しながら成長しようとする特質があります。
その生きている木を伐採すると、その木は生きる状態を維持しようとして水分の調節をしている弁を塞ぐなどの現象を起こします。このような現象や成長過程の特質が伐採後に木が持っているクセとなって、ねじれや曲り、割れなどの影響となって現れます。
建築に使われる木材は、乾燥させてから使用されるのが望ましいのですが、(工務店さんのなかには乾燥させずに使用することが多いのは残念なことです)乾燥させることのみが目的ではありません。上記したクセ=成長応力ともいいますが、これらを軽減させた状態の木材として使用するために乾燥させます。
現代、材木業界に於いて、乾燥方法は実に多くあります。
除湿式、減圧式、太陽熱式、マイクロ波乾燥などなど、各々長所短所あり、いろいろ工夫されていますが、基本的には、単に木材の水分除去という対症療法的な技術が多く、バーナー等による加速的な過熱のみでは、芯まで乾燥できずに木材の表面から水分蒸発によって木材表面の割れが生じるといった現象などの問題が生じ、ゆえに木材本来の特性をより引出す乾燥方法とは言えず、この技術的最善策は、現代においても過渡期といわざるを得ません。
未来工房は、このことについての理想的な乾燥方法として、昔ながらの燻煙方法を現代に活かし、水分除去はもちろんのこと、木が本来持っている効用を回復させる燻煙熱処理に注目しました。


正しくは本格燻煙処理木材ということになります。
わざわざ「本格」と銘打つ割りに、実は「本格」の定義は無いようなものです。
燻煙方法は、理論的には学術レベルでの定義はあるようですが、技術的には確立されておらず、早い話、仮に短時間に湿度管理や温度管理もせず、単に煙りで燻すだけでも「燻煙した」と言えば通ってしまいます。
未来工房が、あえて本格燻煙と銘打つのは、使用する丸太を樹齢50~60年生以上の物に限定し、材の皮や端材だけを燃焼させ低温(80℃~100℃)で多量の水蒸気と煙によりじわじわと木材全体を均一に燻し、しかも小ロットで湿度、温度管理を行い、木材の成長応力を緩和させ、安定性を保つ木材を作り出す時間と労をかけた贅沢な方法だからです。
残念ながら、その本格燻煙を施している燻煙窯は全国でも少なく、弊社が知るかぎり、九州では熊本県に1社あるだけで、
その本格燻煙を行っている方々と出会えたのは、今にしてみれば感動的でした。

優良銘木として名高い球磨杉、桧の産地、そしてこれらを燻煙する球磨郡多良木町の施設へ何度も足を運びスタッフ全員が(お客さまも一緒に見学されることもあります)生きている木を目の当たりにし、この木を活かして使うための燻煙施設を見学することで、山の人たちのこだわりを体験しました。
木材の皮や端材だけを燃焼させ低温で多量の水蒸気を含んだ煙により、じわじわと木材全体を均一に燻すことに時間と労をかけた贅沢な方法でもあります。結果、その木自身の成長応力やストレスを緩和し、安定性を持ちます。
燻煙熱処理は、化石燃料による蒸気式乾燥設備に比べ、100立米の木材を乾燥させるのに40~60万円のコストを削減できることもさることながら、化石燃料を使用しないで、木材自身の皮や端材を燃料として使用することは、CO2や有害物質の殆ど出ない(着火時にはガスを使用します)バイオマス燃料で、これだけとってみても、圧倒的にいわゆる地球に優しい乾燥方法といえると思います。
木にとって良いことは、結果的に人体にも良い結果を出します。
人の暮らしにも当てはまる効用として活かされます。
木材の安定、室内調湿効果(一般の乾燥材の2.5倍)、消臭効果、精神安定、防虫・防カビ効果が得られ、他にも本来、木がもっている多くの効用が本格的に燻煙することにより、さらに発揮されていきます。
(詳しくは是非、未来工房スタッフに聞いてみて下さい)
自然サイクルの循環と地域社会還元も含め、加えて国産材の失地回復のカギでもある本格燻煙を、将来的には標準仕様として取り組んでいきたいと考えています。

以下は、手前味噌も含みますのでスルーしてもらってかまいません。
もともと、未来工房は設立当初からシックハウス対策と、強さ(当時の阪神淡路島大震災のでの仮設住宅からヒントを得た強度と工法)を基盤に、若い家族でも、無理のない支払いで本物の暮らし良い無垢の木の家を。
というのがスローガンみたいなものでしたが、安価(安さだけの家でありません。念のため)さと、当時まで行っていた輸入アパート建設の経緯もあって、実は輸入材を使用していました。

いきなりマクロな話ですが、ワシントン条約以降の国内の時流は圧倒的に輸入材でした。それは今でも変わりませんが、近年、金属やプラスチックに代表される生産物の生産過程における環境負荷問題についての世界的風潮は、住宅業界においては、国産材による木造住宅が見直されてきたことで、国内の木を環境資源として捉え、伐採、植林のサイクルにより森を再生化することでCO2吸収量の増加、もしくは排出抑制として役立て、さらには将来の国土保全にもつながる社会的使命ともなってきました。
地産地消ではありませんが、九州の木を使って家を建てる。
現在、この燻煙処理木材を土台・大引に標準仕様とするようになってから、私たちにとって「若い家族でも暮らし良い家」作りの意味が社会的使命として広義的に捉えられるようになりました。
これが自慢ではなく事実として、その実感を改めて社会的責務として遂行拡大していきたいと考えています。
●福岡の基本形の家と、久留米の「やかまし村の家」及び事務所棟、佐賀の「球磨杉の舎」は、
構造材全てを燻煙して建てました(佐賀の「球磨杉の舎」は床材までも燻煙杉です)。
燻煙処理木材は、見えないところのこだわりとして実践しているのですが、残念なことに目で見てすぐに解る内容でもありません。そのため、構造材すべてを燻煙処理木材にするのは高価でもあるし、標準仕様ではありません。
ですがお客さまの中には、この良さに感嘆されて、基礎だけではなく全てを燻煙構造材で建てられ、お客さまの家」完成見学会で実際ご覧いただけるケースも増えています。









![[未来工房]展示場めぐり](unionimages_2012/BTN_Meguri.png)


![[未来工房]通信](unionimages_2012/BTN_NewsLetter.png)

