完成
見学会

「トトロの森みたいでしょ。」

福岡県糸島市 S様邸

決め手はこの自然。
「トトロの森みたいでしょ。」

大通りを外れてだんだん細くなる道から、
さらに砂利道を進んだ先にあるS様邸。
「トトロの森みたいでしょう?」の問いかけには、誰もが頷いてしまいます。

伺ったのは4月の雨上がりの日。
たっぷりと水分を蓄え生き生きとした緑に迎えられました。
そんな豊かな緑の中にそっと納まった
S様邸は、外から見た時の周囲との一体感もさることながら
部屋で過ごす時の外との繋がりが、不思議なほどに強く感じられました。
どの部屋のどの窓からも緑がのぞき、和室をぐるりと囲む縁側や、リビングから続くデッキが、
「ウチ」と「ソト」を繋いでくれます。だから和室の障子は全て雪見障子に。ごろんと寝転がっても緑が目に入ります。

「ここは空間が特別なんです。空気感というか、だからすごく元気が出る。」と奥様。
お知り合いを呼んでヨガ教室を開かれることもあるそうで、
「普段からヨガをやっている人も、ここだとまた違ったものを感じるみたい。」家と、
それを包み込む環境が、何か元気をくれるのかもしれません。
そんな土地の力も生かして、S様は敷地内や近くの土地で農業も始められました。

ご主人はまだまだやりたいことがたくさんあるそうで、
「果樹も植えたいんです。枇杷と無花果は絶対!」と意気込んでいらっしゃいました。
そんなご主人の一番の楽しみは、薪で沸かすお風呂。お風呂にゆっくり浸かる時間よりも、
お風呂を沸かすのが好きで、「いくらでもここにいられます。」と幸せそう。
お庭の案内中にたくさんの野イチゴに気付いた奥様は、
「こんなにたくさんあったらジャムにしてもいいですね。」とニッコリ。

暮らしにかける「手間」を楽しむ

立地や空気感の持つ力など、驚かされることの多い
S様邸ですが、特に驚いたのは、S様ご夫婦の好奇心と
行動力。コンポストトイレや薪で沸かすお風呂、
薪ストーブの失敗から学んだ竹炭作りなど、
気になったらすぐに行動に移し、そして学んでいく。
和綿(わわた)から作るオーガニックコットンに興味を持ち、
東京まで足を運んだこともあるそう。作業部屋に
置かれた機織り機は、なんとご主人の手づくりでした。

お近くの住まい人のN様も綿を栽培されていて、
今度一緒に糸を紡ぐお話もされているとか。
今ではニックネームで呼び合うほど仲良しです。
楽しそうにお話しくださるご主人に、「情報を拾ってくるのは
私なんですけど、ハマるのは主人なんですよね。」と奥様。
なんともチームワークのいいご夫婦です。

ご夫婦とのお話に夢中になってしまい、取材だということをついつい忘れてしまうスタッフ。
慌てておうちの中を拝見していると、お気に入りの場所がそれぞれ違うことが分かりました。
「居場所」がたくさんあるS様邸。
和室に寝転ぶ、リビングで寛ぐ、個室の畳スペースでお昼寝、
中二階のソファに腰掛けて本を…。
様々な暮らし、特に、やすらぎの想像が膨らむS様邸でした。

(取材/2017年夏)

「チルチンびと」
電子書籍ご覧いただけます。

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