“ちょうどいい狭さ”を楽しむ、自然とつながる住まい

福岡の緑豊かな住宅街に建つ、岡本さんご一家の住まい。ご夫婦と2人のお子さんが暮らすこの家は、少しユニークな間取りが特徴です。玄関を入ると、そこはなんと土間ダイニング。いわゆる“玄関”を設けず、外と内をつなぐ空間として土間を大きくとった大胆な設計です。

このアイデアを形にしたのは、ご主人であり建築士でもある幸穂さん。自然と共にある暮らしを大切にし、間仕切りを減らし、収納も最小限にすることで、家族の変化に合わせて柔軟に使える空間をつくりました。子ども部屋もあえてつくらず、家全体がひとつのつながりのある空間になっています。

家づくりのきっかけは、長男の誕生でした。土地はご主人のご実家の敷地内。ご夫婦で話し合いながら、土間ダイニングや薪ストーブ、インナーバルコニーなど、自分たちらしい暮らしのイメージを設計に反映させていきました。

この家にはもうひとつ大きな特徴があります。それは、無垢材の家で「耐震等級3相当」を目指した構造。幸穂さんは、設計士として長年研究を重ね、専門家のアドバイスや実験を経て、その性能をこの家に実現させました。木のぬくもりと安心を両立した住まいでもあるのです。

暮らし始めて5年。「日々快適に過ごしています」と話すご主人と、「この家でのデータを温湿度の研究にも活かしていますが、何より実際に心地よく暮らせていることが何よりの成果です」と語る幸穂さん。

今後は寝室に建具を加えたり、ロフトに本棚をつくったりと、住みながら少しずつ家を育てていく予定です。「いつか土間ダイニングを使って、ギャラリーのような場にできたら」と語るご夫婦の笑顔が印象的でした。