完成
見学会

居心地の良い「普通の家」をつくる

Plan

設計に向かうとき、常にその家が「普通の家」になっているか、「当たり前に生活できる家」か考えます。それは単に暮らせるというだけでなく、家で過ごすどんな時間も心地よくいられるということ。

窓を開けたら見える景色、聞こえる音、外からの視線、通り抜ける光と風、さらにその地の文化。家に住まうとき、必ず周囲との関わりが生まれます。
家の中では、部屋でくつろいだり、家事をすませたり、趣味を楽しんだり、色んな過ごし方があることでしょう。もちろん省エネ・温熱性能や、地震・台風など災害への備えも必要です。
当たり前の毎日を幸せに過ごせる、小さな心配りに満ちた家を、建築に関わる様々な要素と考え合わせ、提案します。

自然素材によって、快適性と強い構造を両立する。

壁が多く窓が少ない、吹き抜けもない真四角の家。構造の強度を上げるために、近年の木造住宅で主流となった集成材や合板を多用すること。快適な温熱環境のために機械を多用し、分かりやすい指標に頼ること。これらは、作り手に都合のいいとても簡単な方法です。これを指標にすれば、家は本当に、強く快適になるのでしょうか?

「心地よさ」とは?

人が感じる「心地よい」にはたくさんの要素があります。
災害に対する安心、家で過ごす長い時間の豊かさ、数値に裏付けされる以上の「心地よさ」。
目に入る光、物音、肌ざわりや匂い。
断熱性能や蓄熱、省エネなどの現代の工夫や技術と、気候風土を知る先人の知恵。
これらを考え合わせれば、家づくりに自然の材料を用いるのは当然と言えます。
人とまちと、環境と、ありたい未来に寄り添える「本当の快適さ」を持つ家をつくるために。

木の家の「安全」を科学する。

ここ九州でも、大きな地震とは常に隣り合わせ。また、北部九州で頻発する豪雨、台風、高温多湿の気候において、耐久性のある構造躯体は、住む人の安全のために特に重要です。
長期間の使用に耐えうる実例のない合板を用いず、無垢の木によって自然災害時の安全を守る構造を、山辺構造設計事務所代表山辺豊彦氏のご指導のもと、九州職業能力開発大学校(九州ポリテクカレッジ)と共同研究を行っています。


山辺豊彦 やまべ とよひこ(山辺構造設計事務所代表)
1946年石川県生まれ。法政大学工学部建築学科卒業後、青木繁建築研究所に入所。1978年山辺構造設計事務所設立。日本建築構造技術者協会東京サテライト顧問。大工塾共同代表。


九州職業能力開発大学校(九州ポリテクカレッジ)
黒木宏之 くろき ひろゆき(建築施工システム技術科 職業能力開発准教授)
職業能力開発大学校は、いかなる技術革新にも対応できる教養と基礎学力を持ち、即戦力となる高度な技能を身につけた実践技術者を送り出すことを目的に、全国に10校設立された。新技術の導入、新製品の開発、業務の自動化や効率化などの技術的な課題について、企業等と共同・受託研究を行っている。