真夜中こっそりパンを焼く | 未来工房|福岡・佐賀・熊本の木の家づくり

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2026.06.03

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真夜中こっそりパンを焼く

細切れになった時間をそっと寄せ集めてパンを焼いてみませんか?
明日喜ぶあの人のために。〝時間は自分で作るもの〟

タイトル・上記文章 『真夜中こっそりパンを焼く: recipe&essay』より
(2006年/小学館スクウェア)こば きょうこ(著)

自家製酵母を育てる

 今回 訪ねたのは、うきは市の山あいに工房を構える「こばのぱん」。店主のこばきょうこさんはパン製造業に就きながら講師業を十数年経て、2017年に「こばのぱん」を起業、ぱんの製造から包装、定期出店・通販まで、全てお一人でこなされています。九州産小麦全粒粉と自家製酵母、四季の素材が主役。 ぱんもおやつも全て、卵・乳・トランス脂肪酸油脂・白砂糖・精製塩不使用。酵母のペースで育つスローなぱんは、噛み締めるほどその味わいが口の中に広がります。

 この日見せていただいたのは出来立てのりんごの酵母。煮沸した水と容器にりんごの芯をつけて置いておくと、温かい頃なら一週間ほどでシュワシュワと泡が出て、酵母液が出来上がるそうです。匂いを嗅いでみると、ほの甘いりんごの香り。「雑菌が入るとカビが生えて使えませんが、この工房にはいい菌がたくさん住み付いたので。」とこばさん。工房を建てる際に使用した日田杉が、酵母菌が喜ぶ環境に一役買っているようです。できた酵母液に小麦粉を加え、さらに発酵させた酵母種を使ってこばのぱん達は出来ています。

時間を紡いでぱんを焼く

 こばさんのぱん作りのきっかけは、お子さんの離乳食。市販のパンの副材料等の多さに、改めて「こんなにいろいろ入れないといけないの?」と疑問に思い、体をつくる大事な食事。ならば自分で作ろう!と、家事と仕事と育児の合間や夜中、時間をみつけてぱんを焼く日々が始まりました。

 パンを作ったことのない人からすれば、育児の大変な時に…と思いそうですが、「発酵時間に手が空き、かかりっきりになる時間は意外と短いんですよ。忙しい日々にこそ溶け込みやすいことに気付きました」と、こばさん。そんな話の間に、ぱんが焼ける香ばしい匂いが…。窯を開けるとケースからこんもりふっくらと、ぱんの山が二つ。「わぁ、可愛い!美味しそう!」と、ちょっとはしゃいでしまうスタッフでした。

季節の便りで想いを伝える

 やかまし村の朝市では、開店準備中からお客様の姿が。そんな中、ぱんの種類が書かれたPOPを並べる方がいて、聞けばいつも来られる常連さんとのこと。「もう三年、出店の度に足を運んでくださって、近頃はありがたいことにお手伝いまで…。いつも一緒のお子さんも、はっきりと感想をくれる大事なお客様です」と目を細めます。

 一緒に手渡す月替わりの手書きメニューは、各種素材や風味、裏面は保存と焼き戻しの方法など事細かに書かれています。「お客様を思い浮かべながら作っています。時間があれば直接伝えたいけれど、出店中は時間がなくて。これ読んでねって、お手紙のつもりで書いています。」

季節を閉じ込める

 ぱんの具材はもちろん、希少糖と旬の果物でジャムも手作りしています。農薬不使用栽培の野菜や果物を譲っていただく時もあり、もちろん「お返しはぱんで。」
 この日は八百屋さんで見つけたお徳用りんごでジャム作り。「表面に傷や色ムラがあるだけで、美味しいりんごなのにね。」糖分をからめ果汁が滲み出たら火にかけ、木べらで混ぜている間に、ほんのり桜色のりんごジャムが出来上がりました。「自然のきれいな色!今度の出店にこの子も連れて行きます」と愛おしそうなこばさん。
 酵母や素材と会話し、向き合いながらゆっくり育てていく。そんなこばさんのスローなものづくりが、食事の大切さを教えてくれます。


こばのパン
日々こつこつと山奥の工房でぱんを焼いています。九州産小麦全粒粉と自家製酵母、四季の素材が主役。具材も自家製で、自然の風味や素材本来の味わいが伝わるものづくりを大切にしています。
毎週末所定のキュッテン先で直接販売を行っています。ネットでは「通ぱん」セットを販売。
毎月、第二日曜日、最終日曜日に「やかまし村の朝市」に出店。
詳しくはこちらから
https://www.instagram.com/kobanopann/


こば きょうこさん


『真夜中こっそりパンを焼く: recipe&essay』
(2006年/小学館スクウェア)こば きょうこ(著)
※現在、書店及び新品でのお取り扱いはありません

季刊誌 未来工房通信「家苞」vol.58より

※「家苞」は、各モデルハウスにて配布しています。
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