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技と炎が織りなすガラスの世界
涼しげな顔したガラス。
落とせばたちまち割れ、儚げなたとえで使われることもある。
しかし、
一千度を超える熱で溶かされ、技と思いを込められたガラスは、強く、頼もしい。
日常を支えてくれる、相棒になる。

琉球ガラスは、戦後、駐留米軍が持ち込んだ、ビールやコーラの瓶を原料として作られました。「エコ」や「リサイクル」の言葉もない時代、職人たちは知恵を絞り、限られた資源での再生にかける想いを貫きました。
そんな職人の「知恵」や生き様を、伝える義務があるとの思いを胸に、作品を作る「ガラス工房 琥珀」斉藤さんを訪ねました。
原点をそのままに、唯一無二のものづくり。
斉藤さんの琉球ガラスとの出会いは、学生の頃に一人旅した沖縄。再生ガラスを沖縄の伝統工芸にまで育て上げた、琉球ガラス制作の先駆者、稲嶺盛吉氏の作品と生き様に惚れ込んだといいます。どうしても師匠(稲嶺盛吉氏)の下で学びたいと、沖縄に移住し二年以上、熱心に門を叩き続けました。

師匠の下で自分の作品、唯一無二のものづくりをしたい。そんな思いで飛び込んだ琉球ガラスの世界は、想像よりもはるかに過酷。「室温が五十度にもなる工房を、ずっと走り回っているんです。休憩時間は、食事以外はブロックを積んだり、庭の木をみんなで植え替えたり、ガラス以外にいろんなことをしました。おかげで自分で窯を組めるようになって、工房の扉や庭のデッキ作りなど、自分でやりこなす、生きる力ももらったように思います。」
柔らかさと温かみ。日常に溶け込むガラス。
斉藤さんが作品に使うのは全て再生ガラスで着色はせずに、ガラスそのままの色。同じ色でも成分が違うものが混ざると割れが生じるため、「ラベルが同じでも、瓶の製造元が違うこともあるので一つひとつ確認します。瓶を洗って、ラベルを剥がして、割って、手間がかかるけど欠かせない作業です。」再生ガラスは、原料ガラスと違って冷めるのが早く作業できる時間が短い。何度か炙りながらの作業は手間がかかって、これまた大変だといいます。それでも、「レトロっぽくって、ガラスだけど柔らかい感じがする。この質感と温かみある風合いは再生ガラスだからこそ。譲れないこだわりです。」

グラスを作る工程を見せていただいていると、最後の仕上げで変わり、フリルの花器が出来上がりました。「職人としてはダメなのかもしれないけれど、途中で変えることもあります。悪あがきする中で何か別の作品のヒントになることも結構あるんです。」


グラスや花瓶など、日頃から使ってもらえるような物をイメージして作品を作るという斉藤さん。「高価だからと年に数回しか使わないのではなく、気に入った物を普段使いする方が贅沢で、心豊かなことだと思っています。毎日使っていて割れてしまった時に、『ああ、残念だ』と思ってもらえるような、そんなものづくりをしたいですね」と斉藤さんは笑います。

琉球ガラス作家 斉藤 達也
1973年 福岡県嘉穂町(現 嘉麻市)に生まれる
2002年 琉球ガラス『現代の名工』稲嶺盛吉氏に師事
『宙吹きガラス工房 虹』にて修行
現在、県内外で個展・グループ展を多数開催。ホテルや店舗の装飾、新築・リフォームなどでの照明も数多く手掛けている
できあがりは涼しげだけど、暑さとの戦い
琥珀のガラス
暑さ40~50℃の工房の中で、1200℃で溶けたガラスを、あぶって、吹いて、まわして形を整え、デザインをつける。
この工房は、溶解窯も、吹きも、鉄リンも、ほとんどが手作り。温度計もなく、感覚と経験で判断し、止まることなく流れるように作る。
グラスができるまでの6分間
溶けたガラスを巻き取るところから始まるグラス作りを、ノーカットでお送りします。
琥珀のグラスができるまで
吹きガラス体験
非日常で「つくる」を体験。物の「価値」を知る
グラス一つを生み出すのに、技術、知識、経験、手間があること、価格だけでは無い価値を体験を通して知ってもらいたい。そんな思いを込め、「吹きガラス体験」を定期的に開催しています。
仕上げで手を貸すことはしないので、まさに自分の作品が出来上がります。自分で一生懸命作ったものは、必ず大事に使うもの。お子さんも一緒に体験ください。
※開催日はホームページをご覧ください

吹きガラス工房 琥珀
〒820-0712 福岡県飯塚市大分1209
TEL.090-3417-2322 定休日:不定
WEB.http://kohakuglass.com/
※工房へお越しの際は、事前にご連絡をお願いいたします。