たまにはよふかし図鑑
未来工房通信
暮らしとアート
もっと暮らしを楽しむための
時間と空間を作る
長浦さんが水引に惹かれたきっかけは、日本の伝統的な物に携わりたかったから。多くある伝統品の中で、水引を手に取ったのは「大きな理由はなく、本当にタイミングがあったから」と話す長浦さん。深く水引を知るうちに、今もなお暮らしに根付いている水引を、コミュニケーションツールとして多くの人たちに使ってもらいたい、という思いから水引アレンジを行っている。
時代が変わり生活様式が多様化した現代であっても、水引に対する日本人のこころは変わらずに受け継がれている。
水引の起源は飛鳥時代までさかのぼり、宮中の献上品に「くれない」と呼ばれる紅白の麻ひもが結ばれていた。室町時代より「水引」と呼ばれ、日本独自の文化として定着したのは江戸時代になってから。水引の名は和紙に水糊を引いていくからとも言われている。現在は縒った紙に糸やフィルムを巻きつけている。
時代とともに広く浸透していきながら、現代でも相手に気持ちやこころを伝える道具として生活の中にある水引。アレンジすることで、新たな伝統として、暮らしや空間を楽しむことの出来るアートとして水引を広く使ってもらえるようにしたいという長浦さん。
クリスマスの飾りを帰るとしめ飾りになる、水引リース。
長浦さんは、暮らしのアクセントに水引を取り入れて欲しいという思いから、ワークショップを開催している。いつも行っているワークショップを体験させていただいた。
今回は初心者でも作りやすい「ポチ袋」。
色とりどりの紙と水引から自分の好みの色をチョイスするだけで、とてもワクワク。色だけでもたくさんの合わせ方があるので、長浦さんも仕事の際に時間がかかってしまうことがあるとか。
何度か練習を繰り返しポチ袋が完成。お年玉の時かな、お手紙にしようか…と使い道を考えるのも、また楽しい時間だ。
長浦さんは、水引を冠婚葬祭だけでなく、プレゼントのアクセントやアクセサリー、空間モチーフとして、多くの形を生み出している。
ちょっとした工夫やアイデアが、いつもの暮らしを楽しくしてくれる。次は何を作ろうか…あれこれ考えるのも楽しみだ。
水引のモチーフに市販の
パーツを組み合わせてイヤリングに
代官山蔦屋書店のためのオリジナルポチ袋
封筒を使った簡単ラッピング。
リボンの代わりに水引で!
松・竹・梅のモチーフでお正月飾りにも。
長浦 ちえ/Chie Nagaura
1979年福岡県生まれ。2003年 武蔵野美術大学油絵学科卒業、水引デザイナーとして商品開発に携わる。2004年渡仏。帰国後企業の販売促進やオリジナル商品を多数手掛け2013年より、自身のブランド《TIER/タイヤー》を立ち上げる。