完成
見学会

光の入口、風の道。日々感じる色彩

福岡県久留米市三瀦町 H様

光の入口、風の道・・・。

日々感じる色彩たち。

今回お邪魔したのは、お住まいになって2年のH様邸。
天然スイス漆喰の真っ白な壁に、
グリーンの屋根と玄関扉が印象的な外観。
庭を囲む塀には、煉瓦で作られたスペースにアイビーが
植えられ、駐車ペースは芝でデザインされた格子柄が目を引きます。

音を満喫する空間。

家の中にお邪魔すると、リビングは、南側と東側に
大きな窓から光が差し込み、とても明るい日差しに溢れています。
家づくりについて話を伺うと、
「ほとんど主人。私が決めたのは脱衣所の床と、
トイレの消臭タイルくらいですよ(笑)」と奥様。

「どんな家づくりにするか… 風の流れや光の採り方、
動線など、すごく勉強しましたよ」というご主人は、
本やテレビを参考に、「良いな」と思うものを集め、
実際に設計が進む中でアイデアを盛り込みました。
そのひとつが、家の一番高いところ、「棟」に取り付けた大型の換気扇。
温まった空気を逃がすもので全部で4台設置してあります。
風が効率良く流れるように、小屋裏収納の床を一部すのこ状にし、
二階の一部の部屋に可変ルーバー付きのの小窓を設置。
「今年の夏は特に暑かったけど、エアコンをつけたのは8月に数日だけで,夜は窓を開けて
換気扇を回すと、家中に風が流れて涼しかったですよ」と良さを実感されています。

屋根と玄関扉の色がグリーンだったので、グリーンがお好きかと思いお聞きすると、
「本当は青が好きなんですよ(笑)」と、ご主人。
「好みの青色がなくて、グリーンの方がきれいだったから」と、色選びも楽しまれました。
ステンドグラスのガラス板も、
一枚一枚選ばれ、洗面所のブルーのガラスタイルは特にお気に入りとのこと。
玄関から、リビング、キッチン、洗面所へ回遊できる動線や、
二階廊下にアイロン台になるカウンターなど、家事仕事への気配りも素敵です。

ご主人の趣味の一つ、音楽鑑賞。
「オーケストラの、ささやきのような小さな音から、迫力の大きな音の隅々まで聞きたい」との
思いでつくったオーディオルームは、ご主人のこだわりが詰まっています。
無垢の木で作られた空間は音をはねかえさないので、音楽を聞くのに適しているのですが、
低音は床が固くないと響いて来ないため、
床とスピーカー周りはコンクリートで仕上げました。
スピーカーの前に座り、音楽を聴かせていただくと、
低音は下から這うように届き、細かな音の動き、音の幅の広さ、音色に感動です。

薪ストーブは、ライフワーク

リビングの真ん中に、堂々鎮座する薪ストーブは、
ダッチウエスト社製。燃焼効率の良さもですが、
「少し青みのある炎が揺らめき、オーロラのよう見えることもあって、
なんとも神秘的なんですよ」と、炎の美しさが決め手になったそうです。

実は、「薪ストーブが欲しい!」と声をあげたのは奥様。
そこから、ご主人が薪ストーブについて調べ、
薪の準備から火入れまで、全てこなされています。
「私は何もしないけど…欲しいって言って本当に良かった」と奥様。
薪ストーブは、夕方から火を入れはじめ、
就寝時に熾き火のままにしておくと、朝まで暖かいとのこと。
薪の準備など、手間はかかりますが、
それが今ではご主人のライフワークのひとつになっています。

どんな家にしようかと、じっくり考えた分だけ、家での時間が充実する。
そんな「家を住みこなす」ご家族の顔は、満足にあふれていました。

H様の薪ストーブライフ

薪の入手は、現在は主に造園業をされている方から譲ってもらっています。
奥様が、剪定した木が積んであるところを見かけたら、
薪用に分けてもらえないか尋ね、そこから他を紹介してもらったり…。
持ち主がわからない時は、置き手紙をすることも。

樹種は、主に広葉樹ですが、中にはマキやカイヅカイブキのような針葉樹もあるので、
それらは広葉樹と一緒に燃やすようにしています。
丸太の一本ものは、チェーンソーである程度の大きさにカットして、
ここから薪用に割るのが一苦労。以前は斧や楔(くさび)を使って割っていましたが、
量が多く、肘を傷めてしまったので、薪割り機を導入。

油圧式でレバーひとつで固い木も割ってくれる、頼もしい機械です。
サクラは老木になると、見た目がマツと似ているため、割った時の香で確認。
サクラはさわやかな香りがします。
ストックしている薪は、約4年分(!?)。薪は、玉切り(薪の長さ)にした時、
薪のサイズに割った時を記して管理。良く乾燥していないとススが出るので、
空気が乾燥した冬の北風に当てて、しっかり2年乾燥させます。薪のサイズに満たないものは、
ネットに集めて乾燥。使う時に、袋ごと持ち運べて便利。

自分で庭を剪定した枝も、火付け用にストックし、シーズンに備えます。

(取材/2013年冬)