完成
見学会

緑と家族と繋がる暮らし

熊本県益城町 S様邸

家はなるだけ土に還る材料でつくりたい

台風が去り、雲の中に少しの青が見えるこの日、熊本県上益城郡益城町のS様邸に伺いました。

ここ益城はご主人が生まれ育った町。
震災の後、人の少なくなったこの町に帰り、ご友人やご近所の方に温かく迎えられているそうです。
元農家の方が畑仕事を教えながら手伝ってくれるおかげで、広い畑には季節ごとに様々な野菜がたくさん実り、訪れる方にいつもお裾分けされています。
「素人でしたから、本当にありがたいです。」と嬉しそうなS様。

また、煙突を見て薪を譲ってくれる方もいるそうで、家のそばにひとつだけ用意していた薪棚はすぐにいっぱいに。
今では当初の5倍以上の薪棚が増設されています。
この日は息子さんご家族が遊びにいらしていて、ご主人、息子さん、お孫さんの三世代で薪づくり。
「しばらくは薪づくりに忙しくしていましたが、おかげで数年は薪の心配はなさそうです。」とご主人も満足そうに笑います。

S様が未来工房を初めて知ったのは、2009年発行の雑誌「私のカントリー」。
その雑誌を大事に保管し、家づくりの際にはと思っていたのだそう。
数年後に知り合いが未来工房で家を建てることが分かり、
建築中から「今度断熱材の羊毛を入れるから見に来ない?」と誘われ、
完成後は「いつでも見に来てね。見ないと分からないからね。」と、
住まい人からの後押しもあったのだとか。
他の住宅会社も見に行かれたそうですが、
「家をつくるときにはなるだけ土に還る材料で、そして遊び心も大切にしたいと以前から思っていて。そうしたら、やっぱり未来工房だなと思いました。」
と迷いのない表情で教えてくださいました。

繋がる家族の場所

S様邸の1階は、間仕切りが無くひと繋がりのいわば大きなワンルーム。
それぞれが好きな場所にいても、呼びかければ「はーい」と返事が飛んできます。

部屋の区切り以外にも、ここにはないものがたくさんあります。
リビングにあるのは、ソファを探しに行った先で見つけたギャッベだけ。
「結局ソファは買いませんでした。でもみんなこれが大好きで、夏も冬もここでごろごろしています。物は多くない方がかえっていいなと今は思っています。」
と話してくれました。

家の周りにはたくさんの樹木が植えられ、リビングの大きな窓からは、九州山地と重なりみどりが繋がって見えます。
「もっと木を植えて、ゆくゆくは森にしたいと思っているんです。以前熊本の島田美術館で、室内から眺める庭の紅葉が素敵で、そんな風に森を眺めるのが楽しみなんです。」
と、ダイニングチェアに腰掛けて奥様が言います。
みどりを楽しむために、お風呂の窓ガラスも思い切って透明に。
先日お孫さんがお泊りの際は、なんと1日3回もお風呂に入ったのだとか。

すずめが飛んできて餌を啄んだり、ひばりが巣を作ったりと、鳥たちも居心地がよさそう。
夜になると月を眺めたり、お酒を飲みながら過ごすウッドデッキも、庭の成長と共にもっとくつろげる空間になることでしょう。


(取材/2019年夏)